心が生み出す毒素

体質改善で老廃物・毒素を排泄するといいますが、身体の中にある老廃物や毒素は、食べ物や環境からなど外から入ったものだけではありません。
自分の心の中から生み出している毒素もあります。
場合によっては、そちらの毒素のほうが強力なこともよくあります。
自分が何かを思うことによって生み出される毒素とはどういうことなのでしょうか?

結果の出やすい方と出ずらい方
「セラピーも定期的に受け、一生懸命セルフケアに励んでいるのに望むような結果が得られない。」
真面目に体質改善に取り組んでおられる方に、ときどきこういう方がおられます。
そういう場合は自分の中で沸き起こる(または無意識な)「感情」に目を向けていない可能性があります。
基本的に真面目な方は、自分に対する評価や人に対する評価が厳しい場合が多いですね。
「まだまだ自分はダメだ。もっと努力しなければ。」
「私はこんなにやっているのに、何故人はやらないのだろう。もっとやるべきだ。」
などとどれだけやっても自分や人を許さず、焦りがつのって、平和な気持ちにほど遠くなってしまいます。

セラピーやセルフケアの結果が出やすい方は共通した特徴があります。
つらい好転反応が出ても嫌がらず受け入れて、「以前の自分のこうした行為が身体をおかしくしていたのではないか?」と 前向きに過去の自分を分析し、今後に生かそうとします。
過去の誤った習慣を「だから自分はダメだ。」と自分を責めず、「じゃあそれを変えていけばいいんだ。」と成長の材料にしてしまいます。
そしてほんの少しの成果を「やったっ。良くなってる!」ととても喜び、つらい好転反応は「これで悪いものが出たぞ、よし!」とまた喜びます。

セラピーやセルフケアの結果が出ずらい方は、多少の結果が出ていてもそれをたいして喜ばず(認めず)、まだ出ていない部分にばかり目がいってしまいがちです。
「過去の自分の何がいけなかったのだろう?」と分析することより、「過去の自分はダメだった。」と責めてしまったり、 分析することさえもせず「これだけセラピーやセルフケアをやっているのに何故ダメなのだ?間違っているのではないか?」と怒りを感じたり しがちです。

同じ結果が出ても「焦点」のあてどころが違うんですね。
「心」「感情」に対して無自覚でいるより、せっかくだからその力を利用していくと結果がついてくるのではと思います。

マイナスの感情が毒を作る
それでは心のありようや感情が、どのように身体に作用するのでしょうか?
東洋医学では感情と内臓には密接な関係があると考えられています。
喜・怒・憂・思・悲・驚・恐とおもに7種類の感情があります。
それがさまざまな出来事に遭遇する時に「突然」、 あるいは「強烈」に、 または「長期に及ぶ感情刺激」があると、生理的な適応範囲を超え、 耐えられなくなり、「気・血・水」が乱れ、内臓が痛みます。

@怒り(イライラ)の感情は肝臓・胆のうを傷(いた)めます。
お客様に「肝臓が疲れているみたいです。」と言うと、「え?アルコールも薬も特に飲んでませんが・・・。」などとおっしゃいます。
「怒りの感情があったり、またあるのにそれを抑え込んだりすると肝臓に負担がかかるんですよ。」と言うと、 「あ・・・。」などと思い当たるフシがある雰囲気になったりします。
目の疲れは肝臓の疲れと言われています。
肝臓は普段ものいわない臓器ですので傷んでいるかどうかわかりずらいですが、目に不調があるときは怒りの感情の処理はできているか、 考えてみるといいと思います。

A喜びの感情は心臓・小腸を傷める
喜びというとプラスの感情ですが、度が過ぎると寝られなくなったりと身体に負担がかかります。

B思(クヨクヨ)の感情は胃・脾臓・膵臓を傷めます。
よく「仕事のストレスで胃潰瘍になった。」などという話を聞きますね。
周囲の反応を気にする日本人は胃や十二指腸などを傷めやすいです。
仕事中だけでなく家に帰っても人間関係などを思い悩みがちな方は、「クヨクヨすると臓器が傷む」と認識しておくといいと思います。
「あ、いかんいかん。あんな人のことで自分の臓器を悪くするなんてまっぴらだ!」と、無駄な毒素を生まずにすみます。
地震や放射能など「心配」ごとが多い昨今ですが、「心配し過ぎ」も胃などを傷めます。
備えなど今できることをしっかりやってあとは気をラクにしておかないと、放射能などよりむしろ「心配」のマイナスエネルギーにより 身体を弱らせてしまいます。

C悲・憂の感情は肺・大腸を傷めます。
大事な人を失ったりなどあまりに悲しみが深いと、呼吸しずらくなってきます。
呼吸が浅くなると、肺の機能がを十分に使えず、気の循環ができなくなってしまいます。
結果全身に気が周らず元気がなくなってきたり、風邪をひきやすくなったりします。

D恐・驚の感情は腎臓・膀胱を傷めます。
恐怖の体験はトラウマと呼ばれ、その後の人生に影響を及ぼすことは知られています。
虐待やいじめなど実際に自分が体験したことでなくても、人が遭遇しているところを見るだけでも意外と心に影響があったりします。
私の施術経験では、こういった「恐怖」の体験がある方は腰になんらかの不調がある方が多いです。
腎臓やう膀胱が傷むとむくみがおこりやすいです。

一時的な感情だけでなく、普段の「自分に対する評価」が身体に及ぼす影響も大きいです。
「自己否定」「自己卑下」の気持ちは、自分の体をむしばみます。
「自分に価値はない。人と比べて劣っている」→「自分を大切にする価値がない」→「自分の体に悪いことが起こっても仕方がない」→ 「自分の身体に悪いものを取り入れてもかまわない」
というような流れになって自分の身体を粗末にし、結果身体の声をきちんときけずに傷めることになってしまいます。
自己卑下の気持ちは、例えば親から否定され続けたなどの環境から形成されたなど原因があったりしますが、「自分を低く見る」ことが 「謙遜」になるという思い込みもあったりします。
その場合は「自分を肯定する・尊重する・賛美する」ことを「傲慢なこと」という思い込みもあるかもしれません。
日本人は特に「謙遜」することに美意識を見出す傾向が強いですが、「自分を尊重する」ことは「自分の身体の声をきちんと聞く」ということに つながりますので、こういった思い込みは健康のためには手放した方がラクになるのではないでしょうか?

「感情」や自分への評価が身体に影響を及ぼすことを知っていると、身体に余計な負担をかけずに済む場合があります。
「こんなことに執着しているとあとで自分の体が面倒なことになるぞ。」と損得勘定から、 感情や思い込みを手放すことをしたくなるからです。

感情を解放する
マイナスの感情を抱えていると身体に悪いことは知っていても、自分ではどうにもならないのが「感情」だったりします。
なので、自分なりの解放の仕方をいくつか持っておくと少しラクです。
感情は身体の中央のラインにあるチャクラにたまっていることが多いです。
「それほどストレスを感じていない」人も、意外と無意識下ではなにかしらためていますので、ストレス発散をすると身体にはいいです。

・怒りをぶちまける・・・どうにもならない怒りを周りに迷惑ならないように発散する方法を編み出すといいです。
例えば単純なことですが新聞紙を気が済むまでびりびりっに破き倒す、かすれ声で気が済むまでどなる(大声だとなにかと問題がある)とか。
やっているうちにそんなことを大真面目にしている自分がおかしくなってきて笑ってしまいます。

・泣きまくる・・・特に泣きたいようなことがなくても、何かの力を借りて胸やお腹の奥底に潜んでいる「悲しみ」のようなものを 出すとスッキリします。
例えば映画やドラマや本、ドキュメンタリーなど「これは泣けるかも。」というものを見て、泣けそうだったら 嗚咽するくらいに泣くとだいぶラクになります。

・冷え取りをする・・・靴下の重ねばきや半身浴など「冷え取り健康法」をすると、心まで温かくなります。
足元や下半身が温かさでつつまれると心が安心します。
「心が冷えびえして余裕がない」方におすすめです。

・創作に打ち込む・・・絵でも文章でも裁縫でも料理でもなんでもいいのですが、何か自分の創作意欲が満たされると嫌なことが忘れられます。

・歌いまくる・・・「一人カラオケ」をすることが私の一番お気に入りの方法で、心身ともにスッキリし、体中の余分な水が出ていきます。
誰かと一緒に行くと「うまいと思われたい」とか「最新の歌を歌って若いと思われたい」とか、余計な自我とかエゴがでてきて集中できないです。
一人だとどんなに古い歌でもマニアックな歌でも自分には難易度が高すぎる歌でも自由に歌えて、その世界に入りこめます。
腹の底から感情のゴミをのどを通して外に押し出すことで、無意識下にあった感情のゴミが吐き出されます。

・踊りまくる・・・これも歌と似ていますが、音楽に合わせて自由に身体を動かすと、身体の中にあ って滞っている塊が緩みます。

・自然につつまれる・・・海や山や森などの自然の中にいくと呼吸が深くなります。
がんばって遠くに行かなくとも、近くの神社とか窓際で日光浴などからでも自然の力を身体に溶け込ませることは可能です。

感情を分析する
マイナスの感情というとまるで悪者みたいに扱われがちですが、実は心の成長には必要なものです。
うまく利用すれば精神的成長にとても役立ちますし、無駄なエネルギーを消費することを避けられます。
心の重石を取り除けて、精神的にラクな日々を過ごすことができます。

怒りや嫉妬などマイナスの感情が起こった時は、「自分が本当は何を望んでいるのか」を知るチャンスです。
何か激しい感情が沸き起こってきたら少し冷静になって、「おやおや〜、どうして自分はこんなことを感じるのかな〜???」と感情の源を 探っていくといいです。
例えば誰かに腹を立てたら「Aさんにムカついた。何故だろう?」→「Aさんがちゃんとしてないからだ。」→「Aさんがちゃんとしていないとムカつくのは何故だろう?」→などと、紙に書いて矢印をかいてどんどん追求していくと、本当の感情の理由がでてきます。
私は2つのパターンがよく出てきます。
@自分がどうしてもできないことをサラリとやってのけることに対する嫉妬(同性の人に対してが多い)
A自分が認めたくない(もしくは過去の)醜い自分の姿を見せられたことに対する嫌悪(身内に対してが多い)
どちらの場合も相手の問題ではなく、自分の問題に行き着きます。
そして自分より相手のことを低く見ていたという「傲慢さ」に気づくことが多いです。

@Aとも解決法があります。
@の嫉妬の場合は、ムカつくと感じた相手の「真似をする」といいわけです。
Aの嫌悪の場合は、愚かな醜い自分を、「人間だもの」と許せばいいだけです。
きちんと自分の感情の源をたどってイラだちの根本を知ると、スーッっと簡単に感情が消えていきます。
そして同じような状況になった時に、不思議とそういった感情は出てこなくなります。
おそらく無意識下で「ムカついた。何故だろう?・・・・・」といった追求がされて解決してしまい、表層意識に上がってこないのではないかと思います。
こうしたことをやらないでいると、いつも同じ状況でいつもムカついたりイラついたりを永遠繰り返し、最終的に健康を害します。
感情の分析、追求をしていくと、「あ〜、自分はそんなことを望んでいたんだ〜。そっか〜。よしよし。」などと意外なことがわかったりして結構楽しいです。
つまらない執着・自我・プライドが溶けて心がラクになってきます。
そして「またイラッとくること何か起きないかしら???」と余裕が出たりします。

優柔不断におすすめ・断捨離
心身ともに調子の悪い方の中には、よく「自分が何を好きでどうしていきたいかわからない」とおっしゃる方がいます。
こういった方がつらい症状を抱えるのは、自分の心の声を聞くことをしてこなかったために、周りが自分に望んでいることが優先され、 結果身体に無理を強いていたことが原因です。
子供のころから「良い子」でいた方にとても多いです。
周りが望むことをして人を喜ばせることはいいことです
が、自分の頭でものを考えるのを面倒がったり、自分の意見を表明して周りと衝突するのを避けようとしてそれをしていたとしたら、 あとでつらくなってくるのは自分です。
そういった方が「今の状況を変えていきたい。」という場合、良いトレーニングになるのが「断捨離」です。

断捨離(だんしゃり)とは、必要のないものを住まいから取り除き、必要なものを絞り込む 最近話題の片付けのことです。
体質を変えていくには、まず体内から不要なものを排泄すること、そして気・血・水の流れを整えることが大事です。
気・エネルギーの流れをスムーズにすること、それは身体の内側も外側も同じです。
部屋にある不要なもの(=ガラクタ)の滞ったエネルギーが人を疲れさせ、無気力にさせ、ひどい時は鬱状態にさせるといわれています。
いらないものをたくさんため込んだ人は運動不足に陥りやすく、便秘がちで、顔色も冴えず目に光がなくなってきます。

「今」の自分が必要でないもの、好きでないものを捨てると、心身ともにさっぱりとします。
身体の内外の気の流れが良くなってきます。
「自分がどうしたらいいのかわからない」という方には、この断捨離という行為自体が判断力、 決断力を磨くいいトレーニングになると思います。
今の情報が氾濫していて価値観が多様になってきている現代では、世間的にということでなく、 「自分が何を幸せだと感じるか」しっかり把握することが、心の平和につながる のではないでしょうか。